技師会のあゆみ -1

創立50周年に当たり

　昭和27年に近畿地方衛生技術者協会が発足し、本県からは福井県衛生研究所・細菌室に勤めておられた前田嘉右衛門氏が出席されました。同年7月には、全国的な組織として日本衛生検査技術者会が結成されました。

　福井県支部としては昭和29年に結成され、福井県支部会長であった衛生研究所長の大瀬貴光氏は組織化に苦慮されました。50年前のこの時に、福井県臨床検査技師会の前身が誕生したのです。第2代会長の前田氏は、熱心に会員拡大に尽力されました。念願の「衛生検査技師法」の施行を昭和33年にみることができ、翌34年10月には第1回衛生検査技師国家試験が実施されました。県内でも衛生検査技師試験講習会が開催されましたが、公衆衛生面を主としたもので細菌培養、寄生虫の検査、血液型判定などでした。

　昭和36年5月に日本衛生検査技師会が創立されました。この時代の講習会は、年に一度地理的なことも考慮して嶺南地方において合宿形式で開催されました。研修もさることながら会員同士の交流が活発に行われ、その後の技師会の発展と会員の増加につながる糧になったものと思われます。国家試験により検査技師としての資格が確立されたのと時を同じくして、不十分であった臨床化学検査の要望が高まり脚光を浴び始めました。

　昭和40年には日本衛生検査技師会により血液化学10種の精度管理事業が実施され、これを契機に精度管理がクローズアップされるようになりました。試薬メーカーからは次々と試薬キットが発売されるようになり、本県では第4代会長の清水湛氏のご指導により42年からプール血清による統一測定が実施されました。10年間の実績は、県内の精度管理の向上に大きな役割を果たしたのです。

　昭和45年10月に、福井県臨床衛生検査技師会に名称変更されました。この年に「臨床検査技師、衛生検査技師に関する法律」が制定されたことにより、生理検査、採血の業務制限を加えた臨床検査技師の身分が確立されました。46年から臨床検査技師国家試験受験資格取得指定講習会が福井赤十字病院の講堂で日曜日毎に11回連続して開催され、125名が受講しました。その年の8月には第1回臨床検査技師国家試験が実施されました。

　この時期から新卒の技師が増え始めて会員も少しずつ増加し、研究班活動も行われるようになりました。50年余り前に20名くらいの同好会的な組織から始まった当会は、20年後の昭和53年には200名になり、近畿ブロックの一員として福井において第18回近畿臨床衛生検査学会が開催できるまでに発展しました。第5代市野昭治会長から第6代山田興洲会長が努めておられた時期は、役員をはじめ会員が一丸となって組織の強化を図り、会員数は300名を超えました。正に、当技師会の成熟期と言っても良いでしょう。昭和60年代に入ってから山田興洲会長の下で法人化への取り組みが開始されましたが、会員の合意や予算上の問題、県との折衝など、いろいろなハードルを越えなければならず、なかなか実現できない状況が続きました。このような歩みの中、私どもは職能、学術団体として、過去4回近畿臨床衛生学会を担当し、平成18年には第46回を福井で開催する予定になっています。

　また、福井県医学検査学会の開催し、会員の研究発表の場を設けています。生涯教育活動として、毎年30回前後の各部門、分野の研修会を開催しています。さらに、精度管理事業として、検体検査や心電図判読、形態検査のフォトサーベイを実施しています。会員のコミュニケーションを図るためには、会誌や会報、会員名簿の発行を継続し、現在に至っております。

　平成14年4月に「中間法人法」に基づく新しい「中間法人制度」が制定されたことにより、当技師会においても法人化への道が一気に拓けたことは言うまでもありません。第7代東治雄会長の下、再度法人化に挑戦しようと2年余りの年月を掛けて会員の理解と協力を得ることに努めてまいりました。そして、平成16年3月に関係各位のご支援並びに会員の理解と協力により、念願の法人格を取得することができ、東治雄氏が初代会長を務められました。会員数は昭和40年から順調に伸びており、現在355名、所属施設数は67となっており、各施設においては技師会への入会率が大変高いと考えております。

　そして、平成17年3月に「法人設立・創立50周年記念式典・祝賀会」を挙行致しました。この日を迎えられたことは、当技師会の礎を築かれ発展にご尽力された先輩の皆様のお陰によるものと、心から感謝を申し上げます。また、平素からご指導、ご支援を賜っております行政並びに賛助会員の皆様に感謝を申し上げるとともに、現在技師会の運営と後進の育成に努めておられる会員の皆様に敬意を表します。

　創立50周年の記念すべき時に、有限責任中間法人を取得できましたことは、誠に光栄なことと存じます。これを機に、私たちは医療、公衆衛生そして福祉等の各職域において更なる研鑽を積み、地域の人たちの健康保持、増進に寄与することを誓います。

平成17(2005)年